テーマパークの虜達 【1】




 夏休み。一人の学生が、真夜中に端末機の置かれた部屋に入り、ただ一人ネットサーフ
ィンを楽しんでいると、中継ライブ型テーマパークのホームページに辿り着いた。数ある
リンク先をさ迷う内、あるサンプル画像が飛び跳ねるように彼の目に飛び込んできた。キ
ャンパスでなじみあるクラスメイトに似た女性の顔。半裸に近い姿で捕えられた彼女は画
面から目を反らし当惑した表情だった。そのクラスメイトのジーンズ姿位しか目にしたこ
との無かった彼は、薄いレオタード越しに透けて見える胸の二つの先端と股間の茂みを目
にし、欲望の炎を燃え立たせた。
 彼は一瞬の躊躇いの後、会員登録のページを開くと、有料の視聴サイト申し込み入力手
続きを開始した・・・・・・・・


 モデル化された芸能界?
 それともシステム化されたドラマ装置。
 或いはストレートに大人の遊園地。
 SMチックなSF世界?
 それは、ファッションショーであり、戦争ごっこであり、トトカルチョであり、芸能空 
 間であり、風俗街etc・・・


                       「テーマパークの虜達」

                                        S・ミヤコ


「・・・・・・・欲望渦巻くイベント空間をプレイヤーを乗せたシミュレターそのものが
移動し、リンクする・・・・・・・・」

★

「アリエスが捕まったわ。作戦変更よ。帰って来て」

 ゲームセンターのきょう体をでかく広くしたようなコントロールルームで。
 アキラはそっとつぶやいた。
 「いつか、もっとでかいのを作ってやるさ」
 フロントビュワーに広がる星空を眺めながら・・・・

 アキラはシートを回転させ、右側にあるディスプレイに向かった。キーボードを叩くと、
インターネット回線でパメラのホームページにアクセスする。

 この仮想世界最強のプレイヤー、パメラは、今や、百ある都市惑星の30%を支配し、
ゲーム宇宙に覇権を拡大しつつあった。アプローチ過程の文字画面が消え、やがてTV映
像があらわれた。2年前にNTTが実現した光ファイバーケーブル網によってインターネ
ットの世界は完璧なTV映像の飛び交う世界と化した。
 レナからの連絡どおりの事態がそこで展開していた。この世界NO.2のプレイヤー、
アリエスがパメラの惑星基地に捕えられていた。多くのファンを魅了した彼女の大きく優
しい目は焦点を失っていた。自らが捕虜になった事実が今だに信じられないのだ。二十一
の惑星を領有し、同じ数の宇宙船を統率する彼女は未だに選択しかねていた。その全てを
一瞬にして失うか、仲間による救出を信じて、屈辱に耐えるか。
 アリエスは黒い裏皮のブーツを履かされ、ストラップレスの薄く黒いレオタードを着せ
られていた。滅多に肌をさらさないアリエスがこんな姿をしただけでも、パメラのホーム
ページには何時もの数十倍のアクセスがあるはずだ。

★

 中世の牢獄のような石畳模様の床の上。後ろ手に枷をはめられ、立ちすくむアリエス。
 部屋の片側の壁一面は大窓になり、宇宙空間が広がっている。いまや、そこには仲間の
宇宙船の全てが駆けつけ、パメラの艦隊と激しい戦闘を繰り広げている。七色の光線が飛
び交い所々で爆発が起こる。
 アリエスはその光景を苦々しくみまもった。彼らがアリエスを救おうと頑張れば頑張る
ほど、権利を放棄してすぐにも逃げ出したいという彼女の選択を難しくした。仲間を裏切
れない。自分がこの世界を出ることは、彼らのゲームオーバーも意味するのだ。
 黒いレザーのレオタードに、エナメルのジャケットを羽織ったパメラは、ボリュームの
ある黒く長い髪を揺らせながら、アリエスの前にたちはだかった。 
 「逃げてもいいのよ」
 黒い鞭の柄をアリエスの胸に突きつける。
 長身のパメラをアリエスはきっと睨み返した。
 「おまえさえいなくなれば、後はとるに足らない連中ばかり」
 どくろの形をした黒い鞭の柄がアリエスの乳首をもてあそんだ。ストッキングのように
薄く伸縮性に富んだ生地は、アリエスの胸の先端を際立たせている。
 パメラを睨み返すようにきっと立った乳首を離れ、鞭の柄は鳩尾から臍へと向かった。
 「それとも私の奴隷になる?」
 どくろの顔が臍のまわりの肉を巻き込みながら回転する。アリエスは顔をしかめながら
堪えた。
 パメラの背後で一際大きな閃光が走り、黒いこうもりのような宇宙船が吹き飛んだ。
 「あなたの船が吹き飛んだわ」
 気丈なセリフを口にした途端、アリエスは後悔した。
 鞭の柄が恥骨を抉るように押しつけられた。
 「それじゃあ。お仕置をしないとね」

 デルタ地帯を一挙に滑った鞭の柄は、アリエスの敏感な部分に押し込まれた。

 腰が砕けそうな思い。

 アリエスの目に流線型の赤いクルーザーが見えた。黒い鮫のような船を懸命に追い回し
ている。目の霞むような思いでそんな光景を切なく見つめる。
 鞭の柄はグイグイと押し込められ、柔い肉を押し退けたそれはまるで挿入されたかのよ
うに見えた。
 「もともとはあなたが仕掛けた喧嘩よ」
 パメラの手に力が入り、執拗に敏感な部分を刺激した。
 「覚悟しなさい」
 リズミカルに、痛いくらいに擦り付けてくる。姿勢を崩すまいと懸命に堪えるアリエス
の顔は赤らみ、べそをかきそうにも見えた。


★

 ディスプレイに展開するアリエスの受難劇を見守りながらアキラは考えを巡らせる。
 もともと同盟関係を結ぶのが、レナの目的だった。
 アリエスが捕えられたとはいえ、リタイアの意志を表明していない以上。可能性はまだ
ある。アリエスが敗北したとはまだ決まっていないのだ。
 現に、アリエス軍はパメラの惑星基地に捨て身の大攻勢をしかけている。
 ディスプレイには、パメラの仕打ちに身を捩らせ、今にも崩折れそうなアリエスの姿が
あった。
 アキラは操縦桿を右に捻ると進路をパメラの惑星にとった。


★
 
 パメラの執拗な刺激に、アリエスは唇を固く結びながらも鼻を鳴らしはじめた。
 アリエスはたまらず腰を引くが、パメラは尚も続ける。アリエスは吐息を漏らしながら
数歩後ずさった。
 後ろで待ち受けていたパメラの二人の部下が、がっしりとアリエスの体を捕える。
 フロントジッパーのエナメルのレオタードを着た二人は、アリエスを部屋の中央に連れ
ていくと、シンボリックに聳える黒い拷問台の前に立たせた。
 腰の辺りには銀色の巨大な下顎が口を開け、手の様に広がった頭の部分には、鉄のハン
ガーが幾つも釣り下がっている。
 二人の女は、そのハンガーから釣り下がった赤いロープを手に取ると、アリエスの体を
張り付け台に括り付けはじめた。
 ロープを操る女の髪が、時折アリエスの体を撫でる。火照り、敏感になった体はそれだ
けでも、興奮に襲われた。  
 両腕を頭の上に釣り上げられ、万歳をする格好になった時、目の前に閃光が走り、オレ
ンジ色の宇宙船が爆発した。味方の船だ。アリエスの気持ちが萎え、何かをパメラに告げ
ようとした時。すかさず口に、丸いものが押し込まれた。穴だらけの白いボール。恐怖に
目を見開き、パメラを見つめ返すアリエスをよそに、部下の一人がボールに通された黒い
ベルトの金具を頭の後ろで固定しようとしていた。
 もう一人が銀色の下顎の横にあるハンドルを回すと、それは座椅子のように迫り上がり
はじめた。
 二人の女は、アリエスの両膝を捕え、左右に割った。人の腕ほどもある大きさの二つの
牙がアリエスのうち股に食い込み太股を大きく左右に開く。
 パメラは鞭の柄をアリエスの目の前に突き出した。パメラがその根元を親指で弾くと、
どくろの装飾が施された先端部分がぶるぶると奮え出す。
 女達の手がアリエスの胸を鷲掴みにし、大きく開かれたデルタ地帯にはバイブレーショ
ンを伴ったディルドーが宛てがわれる。
 アリエスの意志に反して口から出たのは悲鳴ではなく、熱い吐息だった。 

★

 振動があり、アキラの船はワープ速度から巡航速度に戻った。前方では未だ大戦闘が行
なわれていた。
 鈍く光る黒い鉄の惑星を背景に数十の宇宙船が飛び交っている。
 既にレーダーに映っている新参ものに連中が気付く前に奇襲を掛けねばならない。
 三角形のウィングを持った鳥のような宇宙船は勇ましく弧を描き、戦場へと突入して行
った。船首の両脇に付いた楕円形の砲塔は獲物を目指して器用に回転する。猛禽類のよう
なその宇宙船は、まず弱った獲物に目を付けた。レーダーが、戦列を離れスピードの落ち
始めたパメラ軍の船を補足した。赤い光弾が瞬きながら走った。
 青いメカニックな光を放つ黒い鮫がその餌食になった。
 弱り切ったシールドに強力な攻撃を加えられその船はあっという間に光を失った。

★

 拷問部屋ではパメラ達の行為がますますエスカレートしていた。
 アリエスの開かれた股間にグィと食い込んだレオタード。そこに微かに出来た皺をパメ
ラは左右に掻き分けた。
 「きっとあなたの仲間も見てるわよ」
 脇腹越しに部下達の手が忍びより、アリエスの柔い肉を探り始めた。黒いマニキュアの
二人の指は、アリエスの肉の襞を探り当てると、生地越しに摘み上げ、ゆっくりと左右に
開いた。楕円形にくぼんだレオタードの生地越しに微かに香る雌の臭いをパメラは可愛く
思った。
 「皆興奮している筈よ」
パメラは、小さく染みを作った一際窪んだ場所に指を添え、小さく円を描いた。
 内臓の入り口を同性に弄ばれる屈辱に身を捩らせ、下を向いた時、銀色の顎の歯の一つ
に、カメラが仕込まれているのに気付いた。
 生地越しとは言え、標本のように開かれたその部分は小さなライトに照らされていた。       
「あなたはプレイヤー。この世界に肖像権はないわ。」
「私に捕まった今、あなたはAV女優のようなものよ」
 二人の部下が、アリエスの性器の輪郭を明らかにし、パメラはその内を自由に弄んだ。
 パメラのナイフのような爪の先が粘膜の境界をリズミカルになぞった。
 「私はホームページで一儲けさせてもらうわ」
 晒しものにされる悔しさと、痛痒い快感に身をのけ反らせるアリエスの目から涙がこぼ
れ落ちた。
 パメラ達はそんなことに構わず、アリエスの体を弄び性感を刺激して来る。
 涙で霞んだアリエスの視界に緑色の宇宙船が飛び込んで来た。
 羽を広げた鳥のようなその宇宙船は黒い船を次々と餌食にし始めた。
 アリエスの仲間の船ではない。でも、思考が鈍くなったアリエスにもそれが味方である
のが感じられた。
 「少し、闘いが長引き過ぎたようね」
 パメラのつぶやきが聞こえ、部下が報告する。
 「アリエスの艦隊はあと五隻あまり、それに無傷な船はもうありません」
 パメラ達の手の動きが一時的に止まった。
 「あの新しいお客を必ず捕まえなさい・・・・・・」



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